独立行政法人労働者健康安全機構 長崎産業保健総合支援センター
 
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調査研究  
 
 
長崎県におけるVDT作業による健康影響に関する調査研究

主任研究者 長崎産業保健総合支援センター所長 栄田和行
共同研究者 長崎産業保健総合支援センター相談員 青柳潔、
      竹本泰一郎、児玉好雄、森田茂、大野重雄、
      特別相談員 草野洋介

1 はじめに
 近年、技術革新によりIT(情報技術)化が急速に進み、VDT (Visual Display Terminal)が広く職場に導入されてきた。これに伴い、多くの者が日常業務においてVDT作業に従事するようになってきている。VDT作業による精神的疲労、身体的疲労等の健康影響が指摘されているものの、特にメンタルヘルスとの関連についての検討は少なく、その実態把握は未だ充分とはいえない。VDT健診受診者に対して、GHQ-12質問表と自覚症状に関する質問紙調査を行い、作業歴、作業休止、作業時間との関連について検討した。

2 対象と方法
 事業所職員男性2,559名(75.9%),女性812名(24.1%),計3,371名を対象とした。平均年齢は40.4歳(SD:10.8歳,18歳-69歳)だった。メンタルヘルスについては、精神障害をスクリーニングする尺度としてGHQ-12質問表を用い、最近1ヶ月の状況を評価した。質問内容は「心配事のために睡眠時間が減ったことがありますか」「いつも緊張していますか」「ものごとに集中できますか」「何か有益な役割を果たしていると思いますか」「自分の問題に立ち向かうことができますか」「物事について決断できると思いますか」「いろんな問題を解決できなくて困りますか」「全般的にまあ満足していますか」「日常生活を楽しむことができますか」「不幸せで憂鬱と感じますか」「自信をなくしますか」「自分は役にたたない人間だと感じることがありますか」の12項目である。各12項目は「そんなことはない」、「いつもより多くはない」、「いつもより多い」、「特に多い」の4つの答えからなる。「そんなことはない、いつもより多くはない」を0点、「いつもより多い」、「特に多い」を1点とし、その合計が4点以上を高得点者(軽度の精神障害有り)とした。身体的症状は眼症状(目が疲れる・痛む・乾く)、運動器症状(首や肩がこる、背中・腰が痛い)について調べた。

3 結果
 対象者のうち,作業者が2,573名(78.2%),非作業者が718名(21.8%)だった(未記入80名)。作業の種類(複数回答有り)では対話型(52.9%)、単純入力型(36.0%)が多かった。平均作業年数は9.7年,月平均作業日数は19.0日,一日平均作業時間は3.8時間だった。
非作業者を含んだ全体でGHQ-12高得点者割合は、30歳未満では21.1%だったのに対し、50歳以上では14.7%と年齢が低いほど有意に高かった(p<0.05)。性別では高得点者割合は女性で20.6%、男性で15.8%と女性で有意に高かった(p<0.01)。
 作業者・非作業者間でGHQ-12高得点者と身体的症状の割合を比較した。作業者は非作業者に比べ、GHQ-12高得点者、眼症状(目が疲れる・痛む・乾く)、運動器症状(首や肩がこる、背中・腰が痛い)割合が有意に高かった(表1)。

表1. 作業者・非作業者別割合(%)


 作業者を対象に、作業休止、一日平均作業時間との関連を検討した。作業休止をしない者はする者に対して、有意にGHQ-12高得点者、「目が疲れる、痛む、乾く」「首や肩がこる」者の割合が高かった。「背中、腰が痛む」は休止との関連が認められなかった(表2)。

表2. 作業休止の有無別割合(%)


 一日平均作業時間が長くなるに従って、有意にGHQ-12高得点者、「目が疲れる、痛む、乾く」者の割合は高くなった(表3)。「首や肩がこる」は一日平均作業時間が長くなるに従ってその割合が増加した。「背中、腰が痛い」は作業時間とは関連していなかった。

表3. 一日平均作業時間と眼精疲労との関連


4 考察
 作業者は非作業者に比べ、GHQ-12高得点者、眼症状(目が疲れる・痛む・乾く)、運動器症状(首や肩がこる、背中・腰が痛い)割合が有意に高かったことから、VDT作業は精神症状とともに、眼症状や運動器症状といった身体症状に影響することが示された。
 作業者を対象に、作業休止、一日平均作業時間との関連を検討したところ、作業休止をしない者、一日平均作業時間が長い者は、そうでない者に対して、有意にGHQ-12高得点者、「目が疲れる、痛む、乾く」「首や肩がこる」者の割合が高かった。これらのことから、VDT作業により生ずると考えられる精神症状・身体症状の予防には作業休止の確保と一日作業時間の短縮が有効と考えられた。

5 結論
 VDT作業者の精神・身体症状の予防には、作業休止の確保と一日作業時間の短縮が重要である。
 
   
 
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